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ヨーロッパの温泉入浴しきたり

ヨーロッパの温泉入浴しきたり(国際温泉評論家 山本正隆の世界ココシカ温泉談義より引用)
http://coco.cococica.com/onsen/index.asp?patten_cd=12&page_no=56
国際温泉評論家を標榜していると「温泉の海外と日本との違いは何か?」という質問を受ける。温泉は海外で浸かっても気持がよいので、そういう意味での違いはないのだが、いわゆる温泉文化は一言で答えるのは難しいくらいの違いもある。色々な視点で違いを述べることができるが、ここでは「入浴のしきたり」ということで、ヨーロッパ独特の方式を語ろうと思う。それは「ローマン・アイリッシュ」という入浴方式である。

 ヨーロッパの象徴的温泉地バーデン・バーデン。そこの有名な温泉館フリードリッヒ浴場は、ヨーロッパの伝統的入浴スタイルを今日に伝えるローマン・アイリッシュ入浴方式の館である。これについてはcococica温泉で既に語ったが(第2回、第38回)ここに改めて、その他のローマン・アイリッシュ方式の温泉も含めて「方式としてのヨーロッパの温泉」を纏めておきたい。元祖ローマン・アイリッシュ入浴 <フリードリッヒ浴場>
ローマン・アイリッシュ入浴とは、文字通りローマ式とアイルランド式というヨーロッパの二つの伝統的入浴方式をミックスした方式ということで「冷温交互浴」と呼ばれている。ローマ式はいわゆるローマ時代にローマ帝国が支配する各地で盛んに行われていた入浴方式である。4世紀には900もの浴場があったという。ローマの遺跡カラカラ浴場やポンペイの遺跡あるいは英国のバースの遺跡などでその様子はわかる。基本的には温浴室(発汗室、マッサージ付き)、温水浴槽、冷水浴槽それに休息室からなっている。(ローマのカラカラ浴場は水道水を沸かしたものだが各地の浴場では温泉を使っていた。)一方アイリッシュ式はその起源などは定かでないが、約50℃の飽和蒸気で満たされた蒸気浴である。
ローマ式浴場は裸で混浴だった。というよりその時代には裸に羞恥を感じたり、男女を分けるという風習はなかったらしい。ところがキリスト教がローマを乗っ取ってから、公衆の場での裸を禁じたのである。ギリシャ時代から続いていた入浴方式を禁じて新しい権威を誇示しようとしたのだろう。新しい支配者がよくやる手法である。以来ヨーロッパでは入浴習慣がなくなってしまったのである。現在でも家にバスタブがあってもシャワーで済ます人が大半を占める。
しかし裸でお湯に浸かるのは本能的に気持のよいことなので、入浴好きの人達が根絶された訳ではない。そういう人達のために温泉は医療施設として生き残った。医療施設は公衆の場ではないので裸が許されたのだ。その中でスパ(ベルギー)やバース(英国)など著名な温泉地の盛衰があった後、近代になってレジャー要素の強い温泉リゾートとして開発されたのがドイツのバーデン・バーデンである。19世紀に入って、ドイツの先進的近代医学が温泉療法を認知した。多分そういう情勢が後押ししたのだろう。バーデン・バーデンにローマン・アイリッシュ方式を謳った温泉館「フリードリッヒ浴場」が出来たのである(1877)。現在ヨーロッパ各地に広がっているスパと呼ばれる温泉リゾートのさきがけと言えるものである。
フリードリッヒ浴場は伝統を重んじて形式にこだわっているからか、次第に現代人には合わなくなったようだ。100年経って「楽しさ」を重視したもっと自由に入浴できるレジャーランド式の現代式温泉館が、同じバーデン・バーデンに出来た(カラカラテルメ1985)。しかし「癒し」を重視すると、伝統的入浴方式にはそれなりに顕著な効果があるのである。したがって今尚、現代風の中にもローマン・アイリッシュ方式を取り込んだ温泉館がドイツ、スイスの各地にある。
ローマン・アイリッシュ浴場はヨーロッパの温泉文化を理解する上では避けては通れない入浴方式である。
posted by ホロン at 00:03 | ヨーロッパの温泉
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